2018年02月28日

省エネ改善提案No.2冷却水温度の適正化

今回も、省エネ提案事例の紹介です。
 改善提案No.2冷却水温度の適正化について取り上げます。これは空調設備の省エネです。
 先ず結論としては、下表のようになります。




 今回取り上げるガス吸収式冷温水機の冷却水入口温度についてですが、これは低いほどいいということです。冷却水は冷温水機が冷却を行う際に排出する熱を取り去るのに使われます。冷却水の温度は排熱時の温度より低くないと、当然冷却水に熱が流れません。
 一方、排熱時の温度は、冷温水機の負荷に関係しています。これは、冷温水機負荷が冷却温度と排熱温度の差に比例しているということです。簡単に言うと、温度差が小さいほどいいのです。冷却温度を保ちながら排熱との温度差を縮小するには排熱温度を下げればいいということです。そのためには、冷却水温度が下がらなければなりません。

 以上を踏まえて、改善提案No.2冷却水温度の適正化の内容に入ります。

------------------------------
問題点
 ガス吸収式冷温水機の冷却水入口温度が35℃と高めになっています。

対策
 冷却塔周辺に通風処理を行ったり、設定温度を調整し年間平均で29~30℃程度になるようにします。

計算式
 削減エネルギー量=冷房エネルギー量×冷却水温度の適正化による削減率

効果試算
・試算条件;
  現状(冷却水温度35℃)ガス消費率;標準冷却水温度比113%(※1)
  適正化実施時(冷却水温度29℃)ガス消費率;標準冷却水温度比95%

 冷温水機負荷率;40%(※2)、冷房時COP;1.2、劣化率;65%

  夏期(7、8 月)・中間期(6、9、10 月)の操業時間;1760h/年
 都市ガス13A 低位発熱量;41.66×103kJ/㎥

  定格運転時ガス入力;523kW/台×2 台÷(冷房時COP1.2×0.65)=1,341kW
 ガス消費量1,342kW×40%×3600s/h×1,760h/年÷(41.66×103kJ/㎥)=81,582 ㎥/年

(※1 下表のデータを元に近似曲線より算出)





(※2 負荷率は冷温水機の冷水温度差、流量より冷熱量;4.2kJ/kgK×1,500kg/60s×2K=210kW のため)

・試算;
 ガス削減量;81,582 ㎥/年×(113-95)÷113=1,2995 ㎥/年
   低減コスト;1,2995 ㎥×76.5 円/㎥=994 千円/年
 原油換算;1,2995 ㎥/年×0.045GJ/㎥×0.0258kL/GJ=15.1kL/年
   CO2 削減量;1,2995 ㎥/年×0.0136t-C/GJ×44÷12t-CO2/t-C=29.2t-CO2/年
------------------------------

 以上のような手順で効果試算を行います。次回、試算に出てきた負荷率、COP、劣化率、低位発熱量などとともに空気調和設備の診断で解説します。


Posted by 環境省エネの若先生 at 21:03│Comments(0)TrackBack(0)省エネルギー関連

この記事へのトラックバックURL

http://kankyoushouene.mediacat-blog.jp/t127349